リーマンショックが世間を賑わせた2008年辺りから、時間さえあれば旅をするようになった。そして、先日ふと振り返って数えてみたら、延べ500箇所以上のホテルに滞在していたことが分かった。単純計算で年間約36回、1回あたりの滞在日数は約2.5日なので、1年のうち約3ヶ月間をホテル生活で過ごしていることになる。
そのおかげで、最近ではホテル選びに失敗することも少なくなり、居心地が良いと感じるホテルには「共通点」があることが分かってきた。空間デザインやホテルの経営学などを学んでいれば当たり前のことかもしれないが、実際の経験を通して多くのホテルを比較することによって得られたこのセオリーは、誰かのためになるのではないかと思い、今回は僕が普段どうやってホテルを探しているのかを紹介する。
旅の目的は何か?
その度にあった最適なホテルにとま旅の概要を把握する必要がある。

Who:誰と旅をするのか?
まず最も重要なのは誰と旅をするのか?これによって、選択するホテルの選択肢が変わる。各自でホテルを検索するときにフィルタリングができるようにある程度のオススメを以下に列挙する。
- 一人旅 ー 予算次第で自由な選択が可能!
- 3・4つ星ホテル、ビジネスホテル、ゲストハウス
- 友達 ー 大人数で同じ部屋に止まる場合はAirbnb、少人数ならそれ意外のどれでも良いだろう
- 5つ星ホテル、3・4つ星ホテル、ゲストハウス、Airbnb
- 恋人 ー 基本的にはサービスが徹底されている5つ星ホテルがオススメだが、3・4つ星ホテルも可。
- 5つ星ホテル・3・4つ星ホテル
- 家族 ー 3名以上いることを前提とすると、大部屋が良く、Airbnbか3・4つ星ホテルが理想。
- 3・4つ星ホテル、Airbnb
- 同僚 ー ホテルの部屋からも働けるようにデスクや電子機器周りが充実しているホテル。別部屋の想定。
- 3・4つ星ホテル、ビジネスホテル
When:いつ・どのぐらいの期間泊まるのか?

これは、オン・オフシーズンのどっちになるのかがポイント。オンシーズンであれば、晴れる日が多く観光地を満喫できるが、オフシーズンだと天気次第ではホテル滞在が長くなる可能性が高くなる。よって、オンシーズンならそこまで豪華なホテルでなくても良いが、オフシーズンであれば、快適なホテルを選ぶことをオススメする。
とは言っても、当然予算がある。どのぐらいの期間宿泊するのかによって、泊まれるホテルが決まってくるので、それに応じてランクを調整しよう。数日なら5つ星ホテルでも良いが、1週間以上の場合はさすがに出費がかさむだろう。
Where:どこへ行くのか?

行き先の物価に応じでホテルのランクを調整するのはもちろんのこと、多くの行き先の中心地を選ぶように心がけよう。旅行中は限られた時間内で色々と満喫したいため、少々高くても行動範囲の中心地、最もアクセスが良い場所を選ぶべき。少々安いからと少し離れた場所に泊まる選択肢はできるだけ排除したい。
What:旅先で何をするのか?

都市散策・ビーチでゆっくり・ホテルで引きこもり?これによっても簡素なホテルが良いのか、それとも豪華な施設やスパなどのサービスが整ったホテルが良いか分かれるだろう。
Why:なぜ旅をするのか?

旅先でどうこうどうするのか、これによって選ぶホテルの種類、それから空間が大事になる。もしリフレッシュが目的なら、ホテルの内部の空間も居心地が良いところが理想。もし、自分探しや観光が目的で、旅先を色々と周るなら、空間デザインは少々妥協しても良いと思う。そこは予算と相談。
ホテルの種類
1泊5万円以上する5つ星ホテルからゲストハウスまでを紹介する。尚、ここで用いている写真のホテルは僕が実際に泊まって記憶に鮮明に残っている一軍たち。ちなみにそれぞれの宿泊レポートは別途紹介している(もしくはしようとも思っている)。
5つ星ホテル ー 1泊5万円以上
写真:ザ・ホテル青龍 京都清水(The Hotel Seiryu Kyoto Kiyomizu)

3・4つ星ホテル ー 1泊2万円以上
写真:ザ・ゲートホテル京都高瀬川 by HULIC

温泉旅館(日本限定)
写真:THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 熱海

ビジネスホテル ー 1泊5000円から2万円以内
写真:ネストホテル那覇久茂地

ゲストハウス ー バックパッカー向け
写真:Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE(東京)

Airbnb ー 大人数での宿泊向き
写真:バリ島(インドネシア)

居心地を良くする要素(ハード面)
居心地を良くする空間というのは定義が難しいが、敢えてそこを僕なりに示せればと思う。
照明
写真:THE AOYAMA GRAND HOTEL

照明はたくさんあれば良いということではなく、立体的にかつ色温度を多少変えながら配置されているときにリラックスした感覚になるように思う。ヨーロッパのホテルでは基本のような気もするが日本のホテルはまだそうなっていない部屋が多い気がする。
余白
これはベットの横が壁にくっついている部屋は、片側からだけ圧迫感がありあまり脳によろしくないのではないかと思っている。左右の余白は均等にするべきである。
緑
これは未だに出会ったことがないが、観葉植物が部屋の中にあれば快適なのではないかと思う。これは手入れの難しさから入れていなのだろうか?分かる方は教えていただきたい。最低限ホテルロビーにはあって欲しい。
写真:東京エディション虎ノ門(東京・虎ノ門)



木のぬくもり
木のぬくもりがある部屋はリラックスできるのと柔らかい印象になる。しかも良質な木で作ったデザイン性のある家具などは最高だ。
写真:三井ガーデンホテル大手町(東京・大手町)

ベッドシーツ
模様のない白色の一択。
写真:東京エディション虎ノ門(東京・虎ノ門)

水回り
日本のホテル限定の話にはなるが、浴槽、洗い場、洗面台、トイレすべてが別になっているのは快適だ。典型的なビジネスホテルは、一緒になっていることが多いが、最新のデザインではかなり工夫されていて、別になっているところの数が増えてきたように思う。ちなみに、トイレはウォシュレット付きはマスト!
写真:エスペリアホテル福岡中洲

部屋の広さ・天井の高さ
部屋の広さは、ゲストハウスは除いて、他のホテルは最低でも16平米は欲しい。何故なら16平米以下で快適だと思ったホテルの部屋を見たことがないからだ。また、天井は高ければ高いほど良い。メゾネットタイプなら最高だがここまでのホテルはなかなか無いだろう。部屋が狭いなら尚更天井は高くなっていてほしい。
写真:The Warehouse Hotel(シンガポール)

窓
特に日本のホテルに多いのが、隣のビルと隣接されているために、和風の部屋を演出するために障子をつけたり、磨りガラスにする設計。人間は日光に当たらないと自然には起きられないメカニズムになっているので、できる限り窓が大きい部屋を選ぶようにしよう。また、写真からは分かりづらいが、この設計だと基本的には窓は開かない。よって避けるべきだ。
写真:ザ・ホテル青龍 京都清水(The Hotel Seiryu Kyoto Kiyomizu)

マットレス
人は人生の25%の時間をベッドの上で過ごす。かつその25%は、自分の意志でコントロールがしやすい。なので、良質なマットレスを置いている宿を選ぼう。できれば、シモンズやシーリーは日本人好みのマットレスと言われているが、ブランドが分からない場合でも高さが25cm以上あれば良いと思う。よって、布団は選択しから外れる。
写真:THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 熱海

電子機器周り
最近は、ケーブルの形状がたくさんあって持ち運ぶのが大変だ。未だにiPhoneだけlightling端子を使っていることでケーブルが一本増えてしまう。一方で、夜の標準はUSB-Cに移りつつあるが、ホテルの端子はUSB-Aしかなく、今のところ AC Hotel by Marriottのみ対応していた。これはかなり便利だった。
写真:AC Hotel by Marriott(東京・銀座)

スピーカー
スピーカーがあると一気に空間が盛り上がるし、自分がいつも聞き慣れた曲を流すことで旅先なのにどこか自宅にいるような感覚にさせてくれる。
写真:三井ガーデンホテル大手町(東京・大手町)

その他あったら良いもの
必須ではないが、これがあったら良いなというモノは…
- 体重計
- ポット(バリュミューダなど最新のプロダクトだと尚可。自分が買うときの参考になる)
- 高性能なドライヤ (バリュミューダなど最新のプロダクトだと尚可。自分が買うときの参考になる)
- スーツケースを置く台
- 宅急便の発送用紙
- iPhoneからテレビにミラーリング機能が使える
- 長期保管サービス(多拠点生活をしている人向け)
今まで感動したホテルサービス(ソフト面)
サービスは、ハード面と違い、写真などからは確認できない。よって、僕は基本的にはざっと口コミレビューとその評価を見るようにしている。以下は、感動したホテルサービスの話を少しだけ。
予約後
これが本来あるべきホテルからのファーストコンタクト。ブティックホテルや一流ホテルには多いが、予約後に連絡がきて、チェックインまでのサポートや送迎の手配など、色々と対応してくれる。普段から良く訪れる場所だったらいちいち面倒かもしれないが、初めての場所となるとこういうきめ細やかなサービスは助かる。ホテルを予約する段階で明確にはこういったサービスがあるか判断できないため、土地勘のない場所を訪れる場合のみ口コミをざっと読むようにしている。
ホテルまでの送迎
カンボジアのホテルが忘れられない。シンガポールを出発してプノンペン国際空港へ、その段階では旅のプランは何も決まっていなかった。
送迎車に乗るなり、冷たいおしぼりが出てきて(東南アジアでは異例!)、ホテルに到着するまでの10分ほどで旅のプランが全てコンシェルジュの助けによって決まったのだ。しかも、日の出を見に行く日は朝食が食べられないことを考え、お弁当にしてくれるという。何ともいたれりつくせり。ちなみに送迎から旅のプランニング、お弁当、とすべてホテル代金に含まれており、ホテル代も決して高くなかった。
僕がいつか自分のホテルを持つようになったら、この感動するレベルのサービスを徹底したい。
チェックイン
チェックインの時間までに到着した場合、ホテルに荷物を預けるのはもうスタンダードだろう。ただ、そこでもうチェックインの手続きが完了するホテルはまだ少ない。かつ、夜ホテルに戻ったら荷物もすべて部屋に届けられていて、部屋に手書きのカードと新鮮なフルーツ、お菓子が添えられているとなれば、やはり嬉しい気持ちになる。
チェックインの時間帯は、混雑するが故に、この時間帯をどう乗り切るのかはホテル業界にとって永遠のテーマだろう。最近では、携帯でホテルの鍵を開けられるサービスなども出てきているが、それは混雑回避をしているだけど、新のサービスとは言えない気がする。
滞在中
どれだけのホテルマンが、宿泊客の旅行プランを理解しているだろうか?恐らくほとんどいない。でもそれに挑戦しようとしてるホテルを度々見てきた。チェックインまでの何気ない会話の中でヒアリングした宿泊客の旅行プランや趣味趣向を記録しておき、全てのホテルスタッフに共有。ホテルでの朝食時に、アドバイスや注意点が教えてもらえるのだ。それも本当に友達と話しているかのようにごく自然に。これには驚いた。「そういえば昨日チェックインしたときにはサーフィンに行くと言っていただけど、今日は天気が荒れているから気をつけてね」など。
チェックアウト
チェックアウトの基本は、残りの代金の精算と領収書の発行。でもそうじゃないホテルがあった。荷物を自宅まで配達する手配、再度宿泊客が戻ってきたくなるような仕組みの説明、
チェックアウト後
御礼のメールはもちろんのこと、1週間経ったころに電話があったホテルがあった。現実世界に戻されて嫌になるであろうタイミングを見計らってなのか、絶妙なタイミングに感じた。
居心地が良いホテルをどう選ぶのか?
少し前置きが長くなったが、ではここからは僕がどのように居心地が良いホテルを選んでいるのかを紹介する。
使うアプリ
これは、行く国と地域によって各社の強みがあるため少し工夫が必要。海外なら基本的には、Booking.com、Agoda.com、Hotels.comで良いが、日本ならこれに加えて一休、Reluxを使うようにしている。
ただ、まずはホテルの掲載数が最も多い Booking.com で検索する。アプリ自体も非常に使いやすいだけでなく、ヘビーユーザーには嬉しい Genius Loyality Programというプログラがあり、常に10-15%の割引がもらえるだけでなく、朝食が無料になったり、空室があれば部屋のアップグレードだってされる。
また、携帯の Booking.com アプリを使えば、パソコンからアクセスするよりも割引率が高くなるため、必ず iiPhone のアプリで探すようにしている。
エリアを絞る
アプリを開いたら、まず旅の目的を明確にすることで、どこに行くのかが決まる。移動が多いのか、ホテルにこもるのか、などなど。移動が多い場合は、そこへの交通アクセスが最も良いところを中心に探し、ホテルにこもるならホテルの質で選べば良い。いずれにせよ、エリアをある程度絞ることをオススメする。なぜならそうでもしないと無限に候補が出てきてしまって、選ぶのに時間がかかってしまう。
条件を絞る
僕が国内旅行時によく使う条件は以下の通り。口コミ評価が9点以上、かつバスタブが付いている部屋。これで、全体の19%に絞り込めている。

更に、ホテルの星の数、宿の種類で絞る。仮に「3つ星以上」の「ホテル」に泊まる計画なら次の通り。これで全体の5%に絞り込めた。この結果は京都のものだが、実は京都は世界的に見てもホテルの評価が高い。よって5%でも多いぐらい。もしこれで選択肢が少なくなりすぎてしまったら、少し条件を緩和してあげても良いだろう(例えば口コミを評価が8点以上など)。

次に、ソート機能を使って安い順に並び替える。人気度のアルゴリズムがいまいち理解できておらず、このようにしている。

ホテルを3つの候補の絞る
自分の予算と相談しながらお気に入りのホテルを3つ選ぼう。このときに、居心地良く感じさせる要素(ハード面)があるかを写真とにらめっこしよう。照明、余白、緑、木のぬくもり、ベッドシーツ、水回り、部屋の広さ、天井の高さ、窓、マットレス、電子機器周り、スピーカー。
他の予約サイトを確認
ただ、まだ予約をしてはいけない。念の為他の予約サイトを確認することをオススメする。日本ならAgoda、一休、楽天トラベルなど、たまに大セールを行っているときがあるので確認してそのチャンスを逃さないようにする。でも僕の経験上、90%は Booking.com が一番安い。
オフィシャルサイトの確認
ホテルのオフィシャルサイトでの確認も忘れずに。だいたいは、旅行代理店サイトから予約した方が安いが、三井ガーデンホテル系列などたまに例外がある。三井ガーデンホテルは、自社のアプリに力を入れているようで、それ経由で予約すると会員向けの特別割引があったりする。
予約
候補に3つのホテルを選んだのは、価格が逆転する可能性があるからで、そうでなければ一番お気に入りのものを選ぼう。あとは予約するだけだ。
ここまでだいたい 5−10分もあれば完了するだろう。
まとめ
以上、今まで500軒以上のホテルに泊まってきた僕が行き着いた効率的に居心地が良いホテルに辿り着く方法だ。ホテル選びに失敗しないためにも、参考になればと思う。
もし、この記事に興味を持ってくれた人がいれば、Twitter でフォローしてもらえると嬉しいです。
未希 諒
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