貞享3(1686年)創業の歴史を繋ぐ『松本十帖』に宿泊する機会があったので、その宿泊内容を紹介する。『松本十帖』には2つのホテル『小柳』と『松本本箱』があるが、今回は『松本本箱』の106㎡を超えるスイートルームの内容となる。
宿の紹介
『松本十帖』は、長野県松本駅から北へ車で約20分、開湯1300年の歴史を誇る浅間温泉地帯に点在するホテルやお店の総称。その中には、創業337年以上の老舗温泉旅館『小柳』やブックホテルがテーマの『松本本箱』、ベーカリー、カフェなど、地域活性化の拠点となるべく、さまざまなアイデアが施されている。このプロジェクトの仕掛け人は、会社を東京から新潟県南魚沼に移し、「革命は地方からおこす」を合言葉に地方創生に挑戦する株式会社自遊人の岩佐十良氏。「100年先につなげるまちづくり」と観光の未来について挑戦する集団が手掛けるホテル。また、その設計を手掛けたサポーズデザインオフィスは、以前にも紹介した尾道のホテル『ONOMICHI U2 HOTEL CYCLE』も担当している。
エントランス
『おやきと、コーヒー』でチェックインの手続きを終えたあと、松本本箱を目指す。だいたい徒歩で3分程。坂道を上がると左手にライトアップされた5階建ての建物が突如現れる。ここが『松本本箱』。『小柳』へ向かう場合は、坂道をもう少し登った同じく左手に出てくる。

横に長い暖簾がお出迎え。

松本本箱の『(M)atsumoto (H)onbako』ロゴ。

暖簾を潜るとスライド式のエントランス扉。

ロビー
中へ入ってまず目に飛び込んでくるのは、ブックホテルを象徴する本棚とそこに飾られた本。滞在中に自由に読むことができる。

『本の世界に浸かる』をコンセプトにしたブックバス『オトナ本箱』『こども本箱』は、施設のランドマーク。ここが、そのエリアへの入り口。銭湯をリノベーションしたデザインは、オシャレかつ読書をするのに快適な空間が設けられている。詳細は、次回紹介する。

エントランスすぐ右手が、ホテルのフロント。チェックイン手続きは『おやきと、コーヒー』で行ったが、それ以外のちょっとしたお願いやチェックアウトはここで行う。

奥側から撮った一枚。ホテルのレセプションは、生ビールやワインなどのアルコールの販売も行っていて、館内でいただける。

エレベーターで部屋へ。コンクリートむき出しのデザインと赤の射し色が特徴的。

エレベーターを降りた各階には、追加のアメニティ類、違うデザインの浴衣などが豊富に置かれている。

その他にも、ウォーターサーバーで水を補充したり、フレッシュドリンクなどが無料でいただける。

特徴的なデザインの廊下を通り、部屋へ進む。スイートルームは角部屋となっている。

お部屋
今回宿泊した部屋は、4階のスイートルーム。扉を開けると、すぐ右側に洋服を掛けるエリアがあり、そこには羽織も掛かっていた。羽織のデザインはシンプルでシックなもの。

部屋の中にもミニ本棚。

部屋は、圧巻の106㎡。畳エリア、デスク、ベッド、くつろぎスペース、カウンターキッチン、テラス、お風呂場と盛りだくさん。設計は『ONOMICHI U2』や『hotel koé』などを手がけた『SUPPOSE DESIGN OFFICE』。壁は解体時に現れたコンクリート躯体を磨いて使用。外気と触れる場所は徹底的に断熱。見えないところにコストをかけた、ストイックな空間が魅力のデザインホテル。

畳エリアには、大きなクッションが2つとセーフティボックス、和紙をカバーに使用した照明。

セーフティボックス。

畳エリア奥から部屋を見ると、如何に広いかが分かる。

テーブルの上にも本、レターセット、館内案内など。コンセントの指し口は十分で申し分ない。

BOSEのスピーカーがあるのもポイントが高い。この広い空間を自分の好きな音楽に包まれることができ、最高だった。

テーブルの前は、ベッドエリア。ツインベッドだが、一つがダブルサイズぐらいあったように思う。

布団の上には、浴衣。他のデザインが好みの人は、エレベーターを降りたところから自由に取ってきても良いだろう。

ベッドエリアのさらに前には、くつろぎスペース。ソファ、椅子、ローテーブルがある。家具のチョイスも素敵。

照明を落としたら、さらに間接照明がアクセントになり、空間をムーディーに仕上げられる。

窓の外からは、街が一望できる。

もうどの角度を撮影しても、素敵で絵のようになる。

キッチンスペースの奥は、テラスエリア。訪れたタイミングは、真冬だったので雪が積もっているが、春夏秋なら外に出て澄んだ空気の中で食事をしたり、飲んだりするのも最高だろう。

GENEVAのスピーカー。Bluetoothで自分のiPhoneに繋げれば、そこはすぐ自分の空間に。

バスルーム
バスルームは、洗面台、シャワーエリア、露天風呂、トイレがあり、障子を開くと部屋からの連続した空間とデザインでさらに部屋を広く感じさせる。

洗面台と露天風呂。

アメニティ類は、桶に入っていて、このまま隣の建物にある温泉に出かけることも可能。

洗面台の下には、バスローブも完備。

アメニティの歯ブラシ。

シャワーエリアは、露天風呂とは反対側にあり、その間の移動は少し面倒。完全にタオルで体を拭かないと床が濡れてしまう。

露天風呂からは、松本市内が一望できる。また広さも十分にあり、ゆったりできる。

トイレは、バスエリアの隣にある。

ミニバー
もはや、ミニバーではなくキッチンとバーカウンターがあるエリア。

アイランドキッチンには、色んな種類のおかき、

里山十帖オリジナルブレンドのコーヒー、お茶各種、

持ち帰れる松本十帖オリジナルのタンブラー。

冷蔵庫内のドリンクも無料。

追加でいくらでもいただける。

エスプレッソが飲みたい人には、ネスプレッソのエスプレッソマシーンも。

お湯を沸かすのはバルミューダ。

なんとワインセラーもある!

ワイングラスも。

無料でいただける真澄のスパークリング日本酒。美味しかった!

これ全部無料。

最後におまけでテラスからの景色。

仕事の環境
デスク周り
デスクは、ベッドボードと一体になったデザイン。部屋を一望できる最高の位置で仕事ができる。部屋が最高すぎて、早く仕事を済ませたいというモチベーションが上がる。

基本情報
ホテルを比較した際に、特に違いが出やすい空間、機能、施設、サービスなどを比較。各カテゴリーに対応している場合は「⭕」が、対応していない場合は「❌」が付いている。定性的なかつ主観が入るようなものは、筆者の独断。判断基準の1つとなっているのは、この記事で。
空間演出
エンターテイメント
- ⭕ 間接照明
- ❌ 観葉植物
- ⭕ 天上の高さ
- ⭕ 部屋からの景色
- ❌ YouTube対応テレビ
- ❌ ミラーリング機能
- ⭕ スピーカー
- ❌ レコード
- ⭕ ミニバーのセレクション
お風呂
- ⭕ 浴槽・大浴場・サウナ
- ⭕ シャワーの水圧
- ⭕ ウォシュレット付き
- ❌ 体重計
- ⭕ 豪華なアメニティ
- ❌ マウスウォッシュ
寝室
- ⭕ 高級マットレス
- ❌ スーツケースを開く台
滞在時間
- ⭕ 15時前のチェックイン
- ❌ 12時以降のチェックアウト
仕事関連
- ❌ 外部モニター
- ❌ 可動式デスク
- ⭕ WiFiの速度
- ⭕ レターセット
- ❌ ケーブルの貸し出し
- ❌ USB-Cのポート
その他の施設・サービス
- ❌ 荷物の受取り・部屋へデリバリー
- ❌ ランドリーサービス〈有料〉
- ❌ ジム
- ❌ プール
- ❌ スパ・マッサージ
- ❌ 美容院
- ❌ 傘の貸し出し
- ❌ 荷物の長期保管
ホテルの場所・アクセス
『松本本箱』は、長野県松本駅から北へ車で約20分。
松本駅からタクシーを利用する場合は、配車アプリ『GO TAXI』が便利でお得。アプリをダウンロード後にクーポンコード『mf-pjah3t』を入れてもらえれば、今なら5,000円のクーポンが付与される。キャンペーンが終わっても2,000円のクーポンが付与されるのでぜひ。
今回の宿泊に関して
料金
今回は、一休のプラン『【松本本箱】 露天風呂付きテラススイート (ツイン)のお部屋で、薪火ダイニング「三六七(三六五+二)」で楽しむローカルガストロノミー【1泊2食】』を予約し、98,860円だった。今まで紹介してきた宿の中でも高額な部類だが、INUA出身のシェフが作るディナーと朝食が付いていることを考えると、妥当と言えるかもしれない。
感想
SNSなどで何かと話題になっていた『松本十帖』に宿泊して感じたのは、老舗ホテルでないからこそ作れる空間だったり、コンセプトがふんだんに散りばめられていた。生産性を求めるホテルチェーンとは画一的な『松本十帖』は、全ての方にとって満足度の高い宿泊になることは間違いなさそうだ。
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他のホテル宿泊記
この記事に使用している写真は、一部一休のサイトを参考にしています。
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